季節別の注意点と対策
快適・夏対策
夏のお出かけで気をつけること
日中の散歩は避けて
赤ちゃんの夏のお出かけで、もっとも注意したいのが熱中症。暑さにより体温が急激に上昇して脱水症状になり、最悪の場合は死亡するケースもあります。夏のお出かけは、できれば陽射しの強い10~14時くらいを避け、朝晩の涼しい時間にしましょう。
以前は母子健康手帳に「日光浴をさせましょう」という記載がありましたが、紫外線の悪影響がわかってきたため、最近は積極的に日光に当てる必要はないといわれています。
その代わりに勧められているのが「外気浴」です。あまりに暑い日はムリに外出せず、ちょっと抱っこしてベランダに出たり窓を開けたりして外の空気に触れさせてあげるだけでも、赤ちゃんの気分はリフレッシュします。
水分補給はしっかり
赤ちゃんは腎臓の機能が未熟です。そのため、からだの中に水分が少なくなってもおしっこの量を調節できず、水分の排出が進んでしまいます。だから赤ちゃんは大人よりも脱水症状を起こしやすいのです。
あまり汗をかいていないようでも油断は禁物。皮膚の表面から水分が蒸発して、知らず知らずのうちに脱水が進んでいることがあります。脱水症状を防ぐために、夏場の外出時はこまめに水分を摂らせるようにしましょう。
帽子は必ずかぶせて
日中のお出かけは、帽子を忘れずに。頭への直射日光を防いで体温上昇を防ぐだけでなく、日焼け予防にもなります。
つばが広めのものが陽射しよけには効果的ですが、麦わら帽子など固いものはベビーカーに乗ったときや抱っこしたときにジャマになることがあります。屋内に入ったときにかばんなどにすぐしまえるよう、折りたたみできるやわらかい布製のものがおすすめです。
汗をかいたらすぐ着替え
赤ちゃんはとっても汗っかき。夏の日にお出かけすると、すぐ背中などにぐっしょりと汗をかいてしまいます。
汗をかいたままでいるとあせもの原因にもなるので、服が濡れるほど汗をかいていたら、できるだけ早めに着替えさせてあげましょう。そのときに濡れタオルなどでちょっと汗を拭いてあげると、あせもの予防になります。
デパートなどは冷房が強いことが多いので、汗で濡れた服のままでいるとからだが冷えてかぜをひくことがあります。冷房の強い場所に行ったら、面倒でも着替えさせるか、薄手のシャツなどを1枚着せて、からだが冷えないようにしてあげましょう。
UVケアを忘れずに
日中のお出かけで注意したいのが紫外線。紫外線は皮膚がんの原因になるなどの悪影響が知られてきて、赤ちゃんのうちからのUVケアの重要性が見直されています1)。
ただ、日本では日焼け止めクリームの成分の規制がなく、赤ちゃんにとっては刺激が強い成分が含まれていることがあります。皮膚の弱い赤ちゃんは日焼け止めクリームに頼らずに、「日中の外出は避ける」「帽子を活用する」などして上手に紫外線を防ぎましょう。
近ごろは、ベビーカーに取り付けられるミニサイズの日傘なども販売されています。
しかし一方で、紫外線は皮膚でのビタミンDの産生に必要です。過度に紫外線曝露を避けることは赤ちゃんのビタミンD不足およびくる病の発生につながります。特に母乳栄養児では、ときには日光浴も必要です2)。
参考
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日本小児皮膚科学会:「こどもの紫外線対策について-お役立ちQ&A」
(http://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html) [2021年5月25日確認] - 大薗 恵一:厚生労働省成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「小児ビタミンD欠乏症の実態把握と発症率の推定」平成28年度報告書
上手に虫除け
赤ちゃんが蚊に刺されると、大きく腫れてしばらくしこりが残ることがあります。また、掻き壊してとびひになってしまう危険性もありますから、外出の際は虫除け対策をしっかりしたいものです。
しかし、虫除けスプレーの主な有効成分であるディートは、6か月未満の乳児には使用しない、6か月以上2歳未満では1日1回までと使用の目安が決まっています。使用する場合も、顔には使用しない、なめたりしないように気をつけなければいけません1)。虫除けスプレーやクリームは、成分を確認して使用しましょう。
蚊取り線香や蚊取りマットなど薬剤を使った虫除けは、人体に影響がないとされていますが、体質によっては目のかゆみなどの症状が出ることがあります。
赤ちゃんがいる場合は、「長袖・長ズボンを着せる」「超音波タイプの蚊除けを使う」「虫の多いところに行かない」など、なるべく薬剤に頼らない虫除け方法を選びましょう。
出典
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厚生労働省:「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」
(https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html) [2021年5月25日確認]
夏にかかりやすい赤ちゃんの病気
暑さで体力が落ちる夏は、病気にかかりやすい季節でもあります。
赤ちゃんの様子が普段と違うときや、気になる症状があるときは、かかりつけ医に相談しましょう。
特徴 | 赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、気温が高かったり厚着をしたりしていると、体温が上がる場合があります1)。また、赤ちゃんは大人に比べて体内を占める水分の割合が高く、必要な水分量も多いため、発熱や下痢などで体の水分が失われると脱水症になりやすいという特徴があります1)。 |
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ケア・対応 | 平熱は個人差があるので、まずは普段から赤ちゃんの熱を測り、平熱が何度なのかを知っておきましょう。赤ちゃんが発熱しても、せきや鼻水などの症状がなければ、こまめに水分を補給して、室温や衣類などを調節して涼しい環境にすることで、熱が下がる場合もあります1)。熱があっても食欲があり機嫌がよければ様子を見てもよいでしょう。顔色や機嫌が悪い場合やぐったりしているときは医療機関を受診します1)。 |
出典
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厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf)[2022年4月1日確認]
特徴 | 暑い環境のなかで、発汗によって体内の水分や塩分を失ったときに起こる体調不良の総称です。脱水が起きたり血液の循環が悪くなったりして体温が上昇すると、重要な臓器のはたらきが悪くなって、さまざまな症状があらわれることがあります1)。赤ちゃんは体内を占める水分の割合が高いので水分減少の影響を受けやすいことに加え、体温調節機能も未発達なため、大人よりも熱中症になる可能性が高いと報告されています1)。 |
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症状 | 手足のしびれやめまい、立ちくらみ、こむら返り、頭痛、吐き気、倦怠感などがあらわれることがあります1)。重症になると、意識を失ったり、けいれんを起こしたりする場合もあります1)。水分を摂ることができない、唇や舌の乾燥、尿の量が減って色が濃くなるなどの症状がある場合は、脱水を起こしている可能性があります2)。 |
発症が多い時期 | 7月上旬から8月に熱中症で医療機関を受診する人が多くなっています1)。 |
治療・予防 |
予防のためには、脱水と体温上昇を防ぐことが大切です1)。暑い日には気温が上がる時間帯を避けて外出する、室温をこまめに確認しエアコンなどで28度を目安に適切な室温にする、暑さに応じて衣類を調節するなどの対策で、暑さを避けるようにしましょう1)。ベビーカーは地面に近いため高温になりがちで、赤ちゃんが熱中症になりやすいので注意し、水分補給はこまめに行いましょう1)。 脱水症状がある場合は、医療機関を受診します2)。呼びかけや刺激に対する反応がおかしい場合などには、救急車を呼び、涼しい場所に移動して衣服をゆるめ、首やわきの下、足の付け根(鼠径部:そけいぶ)などを冷やしながら救急車の到着を待ちましょう1)。治療では、体の冷却や点滴を行います1)。 |
出典
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環境省:「熱中症環境保健マニュアル2022」
(https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | 水痘帯状疱疹ウイルス(すいとうたいじょうほうしんウイルス)による病気で、1歳以下の赤ちゃんでは合併症発症の可能性が高くなると報告されています1)。 |
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症状 | 子どもの場合は、発疹から始まります1)。かゆい発疹があらわれ、赤くなったり、ぶつぶつになったりしたあと、水ぶくれになってかさぶたになります1)。はじめは頭皮に発疹ができ、そのあと体にあらわれることが多いと報告されています1)。倦怠感や発熱を伴うこともあります1)。1歳以下の赤ちゃんは、熱性けいれんや肺炎などの合併症で重症化する場合があるので注意が必要です1,2)。 |
流行時期 | 12~7月に多く発生しています1)。 |
感染経路・治療・予防 | 治療には、発疹のかゆみを抑えたり皮膚を保護したりする外用薬が用いられます。空気感染、接触感染、飛沫感染でうつるので、かかっている人に接触しないようにすることが大切です1,2)。水痘発症を予防できるワクチンがあり、1歳の誕生日前日から3歳の誕生日前日までの期間を対象に定期接種となっています2)。 |
出典
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国立感染症研究所:「水痘とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/418-varicella-intro.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「水痘」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/varicella/index.html) [2022年4月1日確認]
特徴 | 百日咳菌への感染によって起こる病気です。乳児もかかることがあり、1歳以下、特に生後6か月以下では重症化する場合もあります1)。 |
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症状 | かぜのような症状で始まり、せきが激しくなっていきます(カタル期)1)。その後、コンコンという激しいせきをしたあとヒューッと息を吸う百日咳特有のせきが約2~3週間にわたって続きます(痙咳期:けいがいき)1)。発作は次第におさまりますが、発症から回復まで約2~3か月かかると報告されています1)。 |
流行時期 | 一年中発生しますが、特に春から夏が多くなっています2)。 |
感染経路・治療・予防 | カタル期の治療には生後6か月以上の場合、抗菌薬が使われます1)。ワクチン接種によって発症するリスクを下げることができ、生後3か月から90か月までに百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオを予防する4種混合ワクチンの4回接種が定期接種となっています1,2)。飛沫や接触により感染します1)。ワクチンの普及により発生数は減っていますが、まだワクチンを接種していない赤ちゃんにうつさないことが大切です1)。 |
出典
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国立感染症研究所:「百日咳とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/477-pertussis.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | 風しんウイルスにより全身に発疹ができる病気です1)。 |
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症状 | 顔や首に発疹ができ、全身に広がっていきます2)。耳の後ろや後頭部などのリンパ節が腫れ、約半数の人は発熱もみられる場合があります。まれに血小板減少性紫斑病※や脳炎を合併することがあります。感染しても15~30%の人は症状が出ないまま免疫ができると報告されています1)。 |
流行時期 | 春先から初夏にかけて流行します3)。 |
感染経路・治療・予防 |
ウイルスを含む飛沫などによって感染します1)。有効な治療法はなく1)、予防のために1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象に、麻しんワクチンとの混合ワクチンであるMRワクチンが定期接種になっています3)。 近年、患者の多くは大人であり、妊娠初期の女性が感染すると生まれる赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症することがあります3)。先天性風疹症候群の予防や、ワクチンを接種できない赤ちゃんを風しんから守るためにも、大人の予防接種も重要です。
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出典
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国立感染症研究所:「風疹とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認] -
国立感染症研究所:「風疹Q&A(2018年1月30日改訂)」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/700-idsc/7811-rubellaqa180130.html) [2022年4月1日確認] -
日本血栓止血学会:「特発性血小板減少性紫斑病」
(https://www.jsth.org/glossary_detail/?id=61) [2022年4月1日確認]
特徴 | 麻しんウイルスによる感染症で、感染力が強く、重症化する可能性もある病気です1)。患者の約半数は2歳以下と報告されています2)。 |
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症状 | 38度前後の発熱とともに倦怠感、せき、鼻水、のどの痛みがあらわれ、症状が強まっていきます1)。乳幼児は下痢や腹痛が起きる場合もあります3)。熱は一度下がりかけたあと再び高熱(39.5度くらい)となります。発疹が耳の後ろや首のあたりから顔、上半身、そして下半身へと広がっていきます。39.5度以上の発熱は3~4日続き、せきや鼻水などの症状も強くなります。肺炎、脳炎、中耳炎などを合併する場合もあります1)。 |
流行時期 | 初春から初夏の発生が多くなっています2)。 |
感染経路・治療・予防 | 治療は対症療法となり、肺炎などの合併症がある場合は抗菌薬が使われることがあります。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染ですが、感染力が強く、マスクや手洗いでは予防できません。予防には定期接種になっているワクチンを打つことが大切です。1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象に麻しん風しん混合ワクチンが定期接種となっています1)。 |
出典
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国立感染症研究所:「麻疹とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html) [2022年4月1日確認] -
国立感染症研究所:「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/588-measlestop.html) [2022年4月1日確認] - 米国小児科学会 編, 岡部信彦 監:最新感染症ガイド R-Book2018-2021. 日本小児医事出版社. 2019
特徴 | RSウイルスに感染して発症する呼吸器の病気です。2歳までに、ほぼすべての子どもが感染するといわれています1)。RSウイルスによる下気道感染症は、生後1年以内の子どもが入院する主な原因と報告されています2)。 |
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症状 | 軽いかぜのような症状から重い細気管支炎や肺炎まで症状はさまざまです。潜伏期間は2~8日で、通常は、38~39度の発熱や鼻水、せきなどの普通のかぜのような症状があらわれ、1~2週間くらいで治るのが一般的です。しかし悪化してしまうと、細気管支や肺の症状があらわれることがあります。とくに、生後6か月未満の赤ちゃんは重い細気管支炎や肺炎などになることもあります3)。 |
流行時期 | 夏ごろから翌春にかけての流行が報告されている3,4)ため、1年中注意が必要です。ただし、流行の時期は都道府県ごとに異なると報告されています3,4)。 |
感染経路・治療・予防 | 主な感染経路は、飛沫感染と汚染された手指や物品を介した接触感染です。RSウイルス感染症の治療薬はなく、必要に応じて酸素を投与したり点滴をしたり対症療法を行います3)。予防が大切ですが、ワクチンはありません3)。日ごろから外出のあとや調理・食事の前、鼻をかんだあとなどに石鹸でよく手を洗いましょう。おもちゃなど赤ちゃんのまわりのものは、アルコールでこまめに消毒しましょう。 |
RSウイルス感染症の
最新流行情報はこちら
出典
- Piedimonte G. & Perez MK.: Pediatr Rev. 35(12), 519-530, 2014
- Rossi GA. & Colin AA.: Eur Respir J. 45(3), 774-789, 2015
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国立感染症研究所:「RSウイルス感染症とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html) [2022年4月1日確認] -
国立感染症研究所:「IDWR 2013年第36号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrc/3972-idwrc-1336-01.html) [2022年4月1日確認]
特徴 | 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)はアデノウイルスによる感染症で、プール熱と呼ばれることもあります。患者の約6割が5歳以下と報告されています1,2)。 |
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症状 | 発熱のほか、頭痛や食欲不振、倦怠感、のどの痛み、目の充血や痛みなど結膜炎の症状があらわれる場合もあります1)。アデノウイルスには多くの型があり、乳幼児で重症となる可能性がある型も報告されています1)。 |
流行時期 | 一年を通して発生しますが、ピークを迎えるのは7~8月です1,2)。 |
感染経路・治療・予防 | プールで感染することがありますが、それ以上に接触による感染が多く、飛沫感染の場合もあります2)。治療は対症療法となり、結膜炎の症状が強い場合には眼科的な治療を行うこともあります1)。予防には、感染している人と接触したりタオルを共有したりしないこと、うがいや石鹸での手洗いなどの基本的な対策を行うことが大切です1,2)。 |
参考
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国立感染症研究所:「咽頭結膜熱とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/323-pcf-intro.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | A群溶血性レンサ球菌による感染症で、侵入した部位によってさまざまな症状があらわれます1)。 |
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症状 | 急性咽頭炎やとびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、中耳炎、肺炎などを起こすと報告されています1)。咽頭炎は、発熱と全身の倦怠感、のどの痛みがあり、嘔吐することもあります1)。 |
流行時期 | 咽頭炎は、冬季と、春から初夏にかけての2つの時期に流行します1)。 |
感染経路・治療・予防 | 咽頭炎の治療には、抗菌薬が使われます。飛沫や接触によってうつるため、家庭内では、学校で感染したきょうだいからうつることがあるといわれています1)。予防には感染している人と接触しないことが大切ですが、うがい、手洗いなどの基本的な感染予防も行いましょう1)。 |
参考
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国立感染症研究所:「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/340-group-a-streptococcus-intro.html) [2022年4月1日確認]
特徴 | ウイルスによって手足や口の中に水ぶくれ(水疱:すいほう)ができる病気で、幼児を中心に流行し、かかる人の半数が2歳以下と報告されています1)。 |
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症状 | 口の中や手足の末端に発疹ができ、場合によっては肘や膝、おしりなどにもできると報告されています1)。発熱は3割程度にとどまり、発熱しても38度以下がほとんどであると報告されています1)。髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎を合併することがあり、高熱や頭痛、嘔吐などがある場合は注意が必要です1)。 |
流行時期 | 春から夏に流行し、夏にピークを迎えます1,2)。 |
感染経路・治療・予防 | 飛沫による感染が多く、接触や口からの感染もあるため、予防には手洗いなど基本的な対策を行います1,2)。有効な治療法はなく、対症療法を行ったり、自然に治癒するまで経過観察したりします1,3)。かかった人が回復したあとも飛沫や鼻水、便にはウイルスが含まれて感染源となりうるので、おむつなどを扱うときは手袋をしたり、しっかり手洗いをすることが大切です1,2)。 |
参考
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国立感染症研究所:「手足口病とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-hfmd.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「手足口病に関するQ&A」
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html#hfmd05) [2022年4月1日確認]
特徴 | ヒトパルボウイルスB19(エリスロウイルスB19)による病気で、頬がりんごのように赤くなることが特徴です1)。 |
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症状 | 両頬がりんごのように赤くなり(紅斑)、手や足にも発疹があらわれます。発疹があらわれる7~10日くらい前に、微熱など、かぜのような症状が出る場合があります。発疹のほとんどは1週間前後で消えると報告されています。5~9歳の発生が最も多く、次いで0~4歳での発生が多いことが報告されています1)。 |
流行時期 | 1月から7月にかけて発生数が増えます1)。 |
感染経路・治療・予防 | 飛沫や接触により感染します。治療は対症療法しかありません1)。感染力があり周りにうつしやすいのは発疹があらわれる前で、発疹があらわれた頃は感染力がなくなっています。感染力がある時期にかかっている人から周りへの感染を予防することが難しいため、日頃から手洗いやうがいなど一般的な予防策を心がけることが大切です1,2)。 |
参考
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国立感染症研究所:「伝染性紅斑とは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html) -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | 「夏かぜ」の代表格で、ウイルスによって発熱し、口の中に水ぶくれ(水疱:すいほう)ができる咽頭炎が症状の特徴です1)。幼児がかかる病気で、患者の9割以上が5歳以下と報告されています1)。 |
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症状 | 急に発熱し、のどの痛みがあらわれて、口の中の粘膜が赤くなり、直径1~2mmの水疱ができると報告されています1)。水疱は5mmほどの大きさになる場合もあります1)。口の中の痛みのため、食事が取れなかったり、脱水になったりすることもありますが、経過はよく、自然に治ることが多いと報告されています1,2)。 |
流行時期 | 5月頃から増え、7月頃が流行のピークとなります1)。 |
感染経路・治療・予防 | 感染経路は接触や飛沫、口を通した感染で、特別な予防法はないので、うがいや消毒などの基本的な対策が大切です1,2)。かかった人が回復したあとも長期間にわたって唾液や鼻水、便にウイルスが含まれることがあるので注意が必要です1,2)。治療は発熱や頭痛に対する対症療法となります1)。 |
参考
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国立感染症研究所:「ヘルパンギーナとは」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/515-herpangina.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | ムンプスウイルスによる唾液腺が腫れる病気で、患者の半数近くが4歳以下と報告されています1)。 |
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症状 | 主な症状は、両側か片側の唾液腺の腫れと痛み、飲み込むときの痛み、発熱です。唾液腺の中でも、耳の前下方にある耳下腺にあらわれることが多く、腫れは48時間以内にピークとなり、症状は約1~2週間で回復することが多いと報告されています。合併症として、無菌性髄膜炎、難聴、思春期以降の睾丸炎や卵巣炎があげられます。感染しても症状があらわれない人も3割程度いることが報告されています1)。 |
流行時期 | 春から夏に多く発生します2)。 |
感染経路・治療・予防 | 治療は鎮痛解熱剤などによる対症療法です1)。接触と飛沫によって感染します。強い感染力があり、感染して症状が出ていない人の唾液を介して感染することもあります1,2)。任意接種ですが、おたふくかぜワクチンがあり1歳児と小学校入学前1年間の2回の接種が推奨されています2,3)。 |
参考
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国立感染症研究所:「流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)」
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/529-mumps.html) [2022年4月1日確認] -
日本小児科学会:「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」
(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20210628.pdf) [2022年4月1日確認] -
日本小児科学会:「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの変更点」
(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | 黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌(溶連菌:ようれんきん)などによる皮膚の感染症で、水疱(すいほう)やかさぶたができ、接触により広がっていきます1)。 |
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症状 | あせもや虫刺されなどを引っかいた傷などに感染し、水疱ができて皮膚がむける水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)、水疱ができずに厚いかさぶたになる痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の2種類があると報告されています1)。患部の浸出液(しんしゅつえき、患部からしみ出てくる液)に菌が含まれるため、患部を引っかいた手でほかの皮膚を触ることで、飛び火のように広がっていくといわれます1)。 |
流行時期 | 乳幼児・小児に多い水疱性膿痂疹は、夏に流行します1)。一方、痂皮性膿痂疹は季節を問わず発生すると報告されています1)。 |
感染経路・治療・予防 | 接触で感染します1,2)。水疱性膿痂疹の場合は抗菌薬の軟膏を塗り、ガーゼで覆って患部に触らないよう保護するとともに、抗菌薬を内服します1)。痂皮性膿痂疹では抗菌薬の内服あるいは点滴を行うか、外用薬として抗菌薬の軟膏を使用します1)。予防には、入浴し、石鹸で洗って皮膚を清潔にすることが大切です1)。虫刺されやアトピー性皮膚炎で引っかいた傷に菌が付きやすいのでそれらの治療を行い、皮膚を傷つけないよう爪は短く切りましょう1,2)。 |
参考
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日本皮膚科学会:「皮膚科Q&A とびひ」
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/index.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認]
特徴 | 伝染性軟属腫ウイルス(でんせんせいなんぞくしゅウイルス)による皮膚の感染症で、7歳以下の子どもに多いと報告されています1)。 |
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症状 | 1~5mm程度のいぼのようなしこりが胴体や手足などにできると報告されています2,3)。ひとつできると、それがつぶれたり、自然にはがれたりしてほかの皮膚にウイルスが付き、数個から数十個集まってできることがあると報告されています1,2)。しこりには軽い痒みを伴います2)。自然に治ることもありますが、長期間かかる場合もあり、個人差が大きいと報告されています1,2)。 |
流行時期 | 浮き輪などを共用したり肌が直接触れたりする機会の多い、プールの時期などに発生しやすいと考えられています4)。 |
感染経路・治療・予防 | 接触によって感染します2)。数が少ないうちに専用の器具での除去、外用薬や内服薬を使用する治療法があります1,2)。予防には、皮膚を清潔に保つことが大切で、皮膚のバリア機能を高めるために保湿も行います1,2)。 |
参考
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日本小児皮膚科学会:「みずいぼ」
(http://jspd.umin.jp/qa/01_mizuibo.html) [2022年4月1日確認] -
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf) [2022年4月1日確認] -
日本小児科学会:「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」
(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20210628.pdf) [2022年4月1日確認] - 米国小児科学会 編, 岡部信彦 監:最新感染症ガイド R-Book2018-2021. 日本小児医事出版社. 2019
暑さを乗り切るための体調管理
上手な体温調節法や赤ちゃんの食欲が落ちたときの対処法をご案内します。
エアコンの設定温度は?
あまり暑すぎると汗をかきすぎてしまうし、冷やしすぎるとかぜをひかせてしまうし…とエアコンの設定温度には悩まされるもの。一般に、赤ちゃんのためには外気温マイナス5度程度が目安になるといわれています。大人はちょっと暑く感じるかもしれませんが、赤ちゃんは2歳までに汗腺が発達するので、あまり汗をかかせないのもよくありません。湿度が高いと不快感を感じやすいので、除湿機などで湿度を50%ほどに下げてあげるのもいいでしょう。
扇風機、どう使う?
風の当てすぎは冷えの元になるので、扇風機を使う場合は赤ちゃんのからだに直接風を当てないようにします。天井に向けて風を送るだけでも室内の空気が循環し、いくらか涼しく感じることも。
赤ちゃんは寝入ってから30分が最も汗をかきやすいので、寝入りばなだけクーラーをかけて涼しくしてあげると心地よく眠りやすいようです。
暑くても裸はNG
暑そうだからといって服を着させずにいると、汗が肌の上にとどまってしまうので、あせもなどの肌トラブルを起こしやすくなります。袖のないランニング姿や腹掛けだけで過ごすのは、一見涼しそうですが、汗をかきやすいわきの下や背中の汗を吸い取らないので、あまりおすすめできません。
暑さで食欲が落ちたら
あまりに暑いと大人でも食欲が落ちてしまうもの。赤ちゃんも気温が高い日が続くと夏バテ気味になり、食欲が低下することがあります。多少食べる量(ミルクを飲む量)が少なくなる程度で、赤ちゃんが元気にしているなら、それほど心配はいりません。
ただし、大幅な体重減少があったり、ぐったりして元気がなくなったりしているようでしたら、一度かかりつけのお医者さんに相談してみましょう。
食欲はなくても水分はたっぷりと
離乳食を食べたがらなくても、脱水症状防止のために、水分はこまめに与えるようにします。冷たいもののほうが口当たりがいいため、ミルクも普段よりやや冷まして与えたほうがよく飲むことが多いようです。
冷たい飲み物を一度にたくさん与えるとお腹を壊しておう吐や下痢を招き、脱水症状を起こす危険性がありますので、少しずつ与えるのがコツです。
口当たりがよく食べやすいものを
離乳食をはじめているなら、ひとつ前の段階に戻してみるのもいいでしょう。また、ゼリー寄せや冷製スープ、あんかけなど、つるりと食べやすいものだと食が進むことがあります。1歳くらいになったらアイスクリームをあげるのもいいでしょう。
アイスクリームは卵や牛乳、お砂糖などが豊富で栄養価が高く、また冷たくて口当たりがいいので、食欲が落ちているときの栄養補給にはぴったり。ただし、食べさせすぎは糖分の取りすぎや冷えにつながるので、少量にしておきましょう。
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